留学先にベトナムを選んではいけない

絶対に選ぶなよ!絶対だぞ!

公安とのあくなき戦い(後編)

前編から続きます。

2戦目

 1月15日、ベトナム縦断の初日でした。出発して小一時間、ハノイ郊外の交差点にて歩道側をのろのろと走っていたところを、「はい君とまってー^^」とあっさり捕まります。幸先が悪すぎる。前編では“初めての体験でわくわくした”などと小学生のような供述をしましたが、2回目はげんなりです。「また賄賂払わなきゃか・・・」と完全に社会主義的な思考が頭を駆け巡ります。

 前回ベトナム語を話せないフリをしたせいで捕まった理由が不明だったので、今回はベトナム語で対応します。もはや戦わず降参。バイクを置き、やはり免許を取り上げられ、車両登録証*1の有無を聞かれます。「バイクの中にあります」と答えると、「そう、OK」と実物の確認はありませんでした。相変わらず適当です。そして肝心の捕まった原因を聞いてみると、

「いい?この道はね、右に曲がるための道。君はここを直進したよね。なのでダメです。」

 つまり車線無視とのことです。そうか、車線無視か。いや、ベトナムに車線があってたまるかよ。この無茶苦茶な交通でそんなルール持ち出すのか、てかこの車線右折と直進どちらもOKじゃないのか、と色々反論したいところですが、相手は公安なので黙ってうなずきます。

 その後は例のごとく、賄賂受け渡し用 取り締まり用の交通公安ポスト(画像左部)に連れて行かれます。ポストの前では公安に脅されたのか、何やら女の子がガン泣きしていてカオスでした。かわいそう。他にも捕まっている人が多かったので、ここは絶好のネズミ捕りポイントであるようです。*2

 

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出典:Hình ảnh cần mẫn của CSGT Hà Nội những ngày cuối năm - VietnamNet

  公安の要求は、「正式な手続きを取ると免許証を返すのに3週間かかる。書類も面倒くさい。今すぐ返して欲しければ60万ドン(約3000円)払え。」とのことでした。(当たり前の話ですが、そもそも取り締まりをする交通公安には罰金の請求権はありません。)賄賂の要求額が前回より高くなっています・・・が、関係ないです。やはり隙を見つけて財布の中身を減らします。

 前回と同じように13万ドンを財布まるごと見せたところ、「金ないのか。」と今回は13万ドン全て持ってかれました。慈悲のかけらもない。鬼畜です。ガソリン代が必要なんです!とか言っておけば2万ドンくらい残してくれたかもしれませんが、まぁ仕方ありません。帰り際に「お前ベトナム語うまいな~」とか褒められますが、褒められてこんなに嬉しくないのも初めてです。悔しいながらも2戦目は降参、2つ目の黒星を付け終了です。

 ※ちなみに縦断中も幹線道路のあちこちで交通公安を見かけましたが、下記の3回目を除いて止められることは1度しかありませんでした。地方での取り締まり対象は大型トラックの荷物検査であるようで、止められた際もナンバーを確認しただけですぐ解放してくれました。

3戦目

 ベトナム縦断16日目、南部の高原都市・バンメトート。街中を走っていると、前にバイクに乗っている緑の公安が見えます。ちょうど画像のようにタンデム(2人乗り)をしていました。

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 出典:Xứng đáng với niềm tin của Nhân dân

 「交通公安じゃないけどやっぱり怖ええな~」とか思いながら横を抜いたのですが、数秒後にその公安がグーンと左から抜き返してきて、ピピピッと笛をふかれて止められます。まじでビビりました。まさか緑の公安に捕まるとは・・・。そして気付きます。さっき抜いたところ、信号でした。公安の目の前で信号無視してました。地方都市の主要道路は丁字路が多く、バイクの場合は赤信号でも流れている、あるいは赤でもバイクの直進が許されていることがほとんどです。ですがその丁字路はダメでした。バイクの公安がいましたし、何より、公安署の目の前でした。

 今回に限っては完全に自分の過失ですが、簡単には折れません。公安のおじいちゃんに「降りろ!(xuống đi!)」とものすごい強気で怒鳴られますが(怖い)、「ベトナム語分かりません!!」と日本語で返します。「はあ?外国人か?」と今度はジェスチャー付きで「降りろ!」と催促されますが、ジェスチャーまで分からないフリをして首を傾げます。徹底的にバイクから降りません。「免許!(bằng lái xe!)」に対しても「バンライセー?は?」とアホっぽくオウム返しです。免許を渡してはいけないことは学習済みです。高速PDCA。

 そして公安2人に「ラオス人だな?」とか言われながら戦うこと5分、「こいつダメだ通じねえ」「もう行け」と思ったよりあっさり解放してくれました。ラオス人の勝利。ハノイに比べて諦めるのが圧倒的に早いです。

 違反してないときに捕まり、違反したときに逃げられるという何ともちぐはぐな結果となりましたが、戦績は以上になります。しっかしこの時のおじいちゃんの勢い尋常じゃなく怖かった・・・

まとめ

・ハノイの公安はしつこい。南部の方がゆるく、ごまかしやすい可能性。

・免許証はあまり重要ではなく*3、取り上げられるだけなので見せる必要性は薄い。

・日本語でやり過ごす際はジェスチャーにも応じず、バイクを止めたり降りたりしない。

→ただし相手は公安なので抵抗はそこそこに。上手に賄賂を渡すのが吉。 

ベトナム滞在残り5ヶ月、公安とのあくなき戦いは続きます・・・(おわり)

*1:名前の通りバイクの正式な登録を証明するカード。中古で売ったり、バイクを貨物列車で輸送する際に必要となる。ベトナムでは免許証よりこちらの方が重要。

*2:国道1号線、Linh Đàm湖を右折した先のNgọc Hồiにある交差点。ハノイから下道で南下する際は要注意。

*3:公安に捕まった際の話。無免許運転は海外旅行保険の対象外となるので取得が望ましい。

公安とのあくなき戦い(前編)

 ベトナムに暮らしていて、自分が最も恐れているのが公安です。バイクでそばを通る度に、「頼む、捕まらないでくれ・・・頼む・・・」と祈ってばかりいます。

 日本でいう警察にあたる公安ですが、”おまわりさん”なんていう優しいものではありません。彼らは国家権力の犬です。態度もめちゃめちゃでかい。こんなこと書いてたらマジで捕まる。社会主義における国家権力というのは本当に強いもので、外で政府や公安の悪口を言おうものなら即座に逮捕です。自分の暮らす首都ハノイは政治の中心なので、とりわけ公安が多いです。(そのおかげで治安が良いとも言われているので、一概に悪い側面ばかりでないのですが・・・。)

 通常の公安と交通公安は制服が分かれていて、通常が緑、交通公安がクリーム色です。ゆえに交通公安は「黄色い服」とか「ピカチュー」とか揶揄されます。そんなに可愛くないよ。もう写真みるだけでいやだ。

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出典: Công an có trang phục mới, thay đổi cành tùng

 そんな交通公安ですが、バイクを運転する人で捕まったことがないという人はほぼいません。理由は大体ノーヘル、信号無視、速度超過、あとは特に悪いことしてないけど捕まったとかです。理不尽。ベトナム人に「バイク乗ってるよ~」という話をすると、「公安に捕まったことはあるか?」「捕まったらどうするか?」と質問されるのはもはやテンプレ。自分はかれこれ3回捕まりました。今回はそんな公安との激戦の記録です。

 初戦

 2018年1月8日、ハノイの中心部に用事があったのでバイクを走らせていたのですが、疲れからか、不幸にも道を間違え、挙句の果てになぜか公安に止められてしまいます。ヘルメットしてる、速度出してない、信号無視もしてないので、完全に理由不明。しかし、バイクを購入してから3ヶ月、初めての体験だったので「ついに俺にもこの時が来たか・・・!」と捕まったにも関わらず心ははしゃいでしまいます。ほんと楽しい性格です。

 前々からベトナム人の友人に、「捕まった時はベトナム語分からないふりすればOK☆」と聞いていたので、その作戦を取ります。「バイクを降りろ!そこにバイク置け!」とか、「は?おめえ外国人か?中国人か?」とか言ってること理解できるんですけど、「いや、俺ベトナム語分からないっす!」「俺何も悪いことしてないっしょ!」と気持ちの悪いきょどった日本語で対応します。しかしジェスチャーで降りろ停めろと指示されてしまったので仕方なく応じることに。

 今度は「免許証出せ!」と指でカードのジェスチャーをしてくるので、ベトナム語を分からないふりをしながらも、あぁ免許証ね、とドヤ顔で免許証を出します。幸いにも2週間前に免許を取得したばかりです。とにかく免許取得率の低いベトナム、「2年以上乗ってるけどこの前やっと取った~」とかざらなのでこれで無罪釈放だろうと思ったのですが、全然ダメでした。免許証を取り上げるや否や、今度は「あ?お前日本人か?免許持ってるならベトナム語分かんだろ!お前試験受けただろ!おい!」とめちゃめちゃ煽ってきます。(ちなみにベトナム語分からなくても筆記試験免除で免許取得できます。) こいつ外国人でも免許取れる仕組み知らねえのかよバカ野郎・・・と心の中で思いつつ、道路にある公安用の小さな窓口に連れて行かれます。(画像参照)

 実を言うと、この時点で既に自分の負けでした。あとは泥沼です。免許証を取られた自分には為すすべがない。いくら日本語を話しても見逃してくれない。窓口の中にいる公安のおじいちゃんは、なにやら「日本語 ベト・・・」とありえなく遅いスピードで翻訳サイトを検索しようとしていますが、途中で入力を諦めます。何のためのスマホだよ。かわりに今度はペンを取り、何やら紙に書き始めました。

500,000VND

指でトントンと文字を指します。賄賂です。50万ベトナムドン、日本円にして2,500円。強力な国家権力の僕(しもべ)である公安の唯一の弱点、カネです。ベトナムでは、大体のことはカネで解決できます。

 しかしいくら日本人とはいえ、2500円はやはり高い。初めてのベトナムだったなら、「え!それだけで許されちゃうの!」と快く払ってしまいそうですが、この国で2500円あれば炒飯15食は食えます。バインミーなら50食です。このままでは納得いかないので、インターン先の社員、テーさんにTELでヘルプを求めます。

「何?捕まったの?今どこ?」(この時点で楽しそうに笑っている)

「ディエンビエンフー通りです。」

「あーそれじゃ遠いね、ちょっと行けないや、うーん、10万ドン!10万ドンならオーケー!」(めちゃめちゃ笑っている)

10万ドン(500円)ならまぁ妥協できるので、早速財布の中身を調整します。こういうときは頭の回転が本当に速い。簡単な話です。財布の中身を12万ドンだけにして、残りはカバンの中に隠します。公安にずっと見張られているわけでもないので、財布をいじる隙を見つけるのは簡単でした。

 準備完了です。きょどって「Only this」となぜか英語を話しながら、12万ドンだけ入った財布をまるごと見せます。すると「これしか持ってないのかよ」と不服そうな顔をし、さっと10万ドンを取り上げ、「行け。」の一言。2万ドンは返してくれる優しさ。てか本当にきっかり10万ドンだった、さすがテーさん。ベトナム語を話さなかったので捕まった理由が分からずもやもやが残りましたが、初戦はこれにて終了です。惨敗とはなりませんでしたが、公安の手から逃れることはできず一敗を喫します。ちなみにこのくだりはベトナム人に好評です。みんな公安の話大好き。

 

残りは後編に続きます。